Xを集合, μ*をXの冪集合における外測度とするときA, B⊆Xに対して
μ*(B\A)=μ*(B)−μ*(A)
が, Aがμ*-可測で測度有限かつA⊆Bなら(Bがμ*-可測でなくとも)成り立つのではないか?と考えたが, 証明ができた.
実際, 結論から言うと, 北田均「新訂版 数理解析学概論」383ページ目や, 谷島賢二「新版 ルベーグ積分と関数解析」67ページ目と96ページ目で暗黙の了解でこれを用いていると考えられる記述がある.
[証明]
Aがμ*-可測であるから∀C⊆X,
μ*(C)=μ*(C∩A)+μ*(C\A).
C=Bとし, A⊆BならばB∩A=Aであることを使うと
μ*(B)=μ*(A)+μ*(B\A)
よってAがμ*-可測で測度有限ならば両辺からμ*(A)を引いて
μ*(B\A)=μ*(B)−μ*(A).
Q.E.D.
これはどんな本にも書かれていないが, これに気づくことができた. 簡単なことだが, 自明ではない.
[別証] (6行目からは或る人からの指摘による)
μ*の劣加法性より,
μ*((B\A)∪A)≦μ*(B\A)+μ*(A)
(直観的には, 一般にB\Aの被覆とAの被覆は交わるから)
すなわち
μ*(B\A)≧μ*(B)−μ*(A) (1)
ところで, μ*の劣加法性より, Aがμ*-可測であることは
∀C⊆X, μ*(C)≧μ*(C∩A)+μ*(C\A)
と同値である. ここでC=Bとすると
μ*(B\A)≦μ*(B)−μ*(A) (2)
「(1)かつ(2)」が成り立つから
μ*(B\A)=μ*(B)−μ*(A).
Q.E.D.
平易に言うと, 図形Aが図形Bに含まれるとき, 図形Bから図形Aを取り除いた図形の大きさはBの大きさからAの大きさを引いた物である, ということである.