序文とあとがきの人のブログ

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勉強成果

北田均『新訂版 数理解析学概論』の誤植 加筆版

https://amzn.asia/d/eGVP4Kg 私が新訂版序文に載っているので, 飽きるほど思い出深くなるほど読んだ. 容易に訂正できそうな誤植は以上の通り. 私が完成度を高めたい.

ディリクレ関数f(x)がx=πで微分不可能であることの証明

f(x)をディリクレ関数(xが有理数のときf(x)=1, xが無理数のときf(x)=0)とするとき, x=πでf(x)が微分可能なら lim_(h→0)(f(π+h)−f(π))/h が存在する. f(x)がx=πで微分可能なら, hをどんなやり方で0に近づけても, この極限値が存在しなければならない. し…

数学における記号の簡略化 加筆版

数学では, 話者や読者の論理に高い厳密性が問われる. しかし, 数学において, 話者または読者の少なくとも一方がそれを破り, 表現を見やすく伝わりやすくすることがある. 例えば https://mathlog.info/articles/3433でも私がしたように, 関数を, 純粋な意味で…

ディリクレ関数について

最近, 有理数や無理数の話をしたので, 以前から語りたかった関数を紹介する.そもそも, 集合Aから集合Bへの関数とは, Aの任意の要素をBの或るひとつの要素に対応させる物なので, 次のような関数も考えられる.関数 f:R→{0, 1}⊂R をf(x)=1 (xが有理数のとき)f(…

√2は実数か?

√2はもしかしたら虚数かもしれないという話ではなく, そもそも実数として存在するのかという話である. 「√2は無理数である」は冗長には「√2は実数であり, 特に√2は無理数である」と言える. では√2は本当に実数なのだろうか? 高校数学では, 有理数が, 有限小…

実数は実在するのか

この記事は, 以前公開していた高校数学の論理的問題点に関する記事を取り下げたのと, その後に考えたことがあるから書いた.数とは何か. これは難しい問である. まず, ありきたりの説明を少し改良してみよう.自然数とは, 1, 2, 3, 4, 5, …のような, 1にどんど…

数学を学ぶ全ての良き人々へ

最近, 数学を学ぶ人が増えている気がする. 数学の入門書も, 検定教科書や学習参考書とは書き方が違う物が多数出版されている. また私は, 私のAmazonレビューやブログ記事の勉強成果の記事が, 少しでも後継のためになればと思いながら書いているので, 今日は…

解析学に現れる半群とその応用(変更•加筆版)

数学の応用分野では, 時間変数tと空間変数xの多変数関数が現れる. t∈ℝ(つまりただの実変数)のこともあればt>0やt≥0のこともある. そして空間変数xとはユークリッド空間ℝ^Nの変数である. 例えば, fを非斉次項または非線型項として, 熱方程式 ∂u/∂t−△u=f, シ…

超関数超入門 第二弾

δ(x)=0 (x≠0), δ(0)=∞, ∫_R δ(x)dx=1 を満たす関数δは存在しない. ただ近似的にそのような関数を作ることはできる. しかしいずれも反則的な項別積分をしなければならない.仮にそのような関数δが存在するとして,∫_R δ(x)φ(x)dx=φ(0)に着目し, 積分の線型…

分配法則から広がる「負×負=正」の話

小学生に分配法則がなぜ成り立つのか直観的に教えた時の写真が見つかったのと, 最近Twitterで「負×負=正」について話題になっていて, 言いたいことがあるのでそれを書く. 以下では厳密に数を定義する話は省略しているため, 完全に厳密な証明, そして一般論…

算数の疑問と測度論

私は小学生の頃, 2つの図形を合わせて作られる図形の面積や体積は, それぞれの図形のそれぞれの面積や体積の合計だと習った.例えば, 2つの三角形でそれぞれの或る1辺が等しい物たちを, その辺を合わせて合体させると, 多角形ができるが, その多角形の面積…

共役作用素のグラフに関する命題について (加筆•訂正済み)

もし関数解析をご存知でなければ, バナッハ空間は有限次元線型空間, Xの双対空間はXからRへの線型写像(例えば固定したベクトルaに対して内積を用いて定まる写像X∋x→(a, x)∈Rなど)の成す空間, ヒルベルト空間は有限次元線型空間, Tの共役作用素はTの随伴変換…

数学の思い出

2005年, 小6の時, 私には初恋にして両想いの人がいた. 彼女とは席替えで隣同士になった. 生きるのが楽しかった. 或る日, 直方体の体積を求める問題を解いたら, 掛け算の順序を訂正された. 彼女は中学受験をする人だったから塾などで順序についてこだわった教…

新訂版における超関数の定義について

「新訂版 数理解析学概論」(https://www.amazon.co.jp/dp/476870462X/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_P7RK86VMMZSND9BBWJAP?_encoding=UTF8&psc=1)では, 試験関数の成す線型位相空間D(Ω)を(D_K)(Ω)=D(K)の帰納的極限として定義している. そうするとD(Ω)が集合と…

測度論の研究成果(訂正・加筆済み)

Xを集合, μ*をXの冪集合における外測度とするときA, B⊆Xに対してμ*(B\A)=μ*(B)−μ*(A)が, Aがμ*-可測で測度有限かつA⊆Bなら(Bがμ*-可測でなくとも)成り立つのではないか?と考えたが, 証明ができた.実際, 結論から言うと, 北田均「新訂版 数理解析学概論」3…

数学における表現の簡略化について

数学では, 話者や読者の論理に高い厳密性が問われる. しかし, 数学において, 話者または読者の少なくとも一方がそれを破り, 表現を見やすく伝わりやすくすることがある. 例えば https://pdem.hatenadiary.com/entry/2020/10/10/115841 でも私がしたように, …

「数」と「数字」の違い

よく, 一般人向けに素数とは1と自分自身以外で割り切れない数字や,偶数とは2で割り切れる数字奇数とは2で割り切れない数字という表現がされていることがある. しかしこれらは誤りである.数は概念である. 名前はまだない. そこで「0」「1」「2」「3」…など名…

0の0乗0^0=1と定めると便利なことについて

まず, 0^0が普通の意味では定められないことの説明として, 2変数関数f(x, y)=x^yが(x, y)=(0, 0)で不連続であることを挙げることがある. 確かに実際,lim_(x→0, y→0)0^y=0lim_(x→0, y→0)x^0=1となり, lim_(x→0, y→0)f(x, y)は存在しない. ゆえにf(0, 0)…

急減少関数が可積分であることの証明 (2022年11月25日最終訂正)

多くの本では既知または行間としている. 急減少関数の典型例:exp(−|x|^2) 注意:exp(−|x|)は急減少関数ではない. 急減少関数について詳しくはこちらを参照されたい:https://pdem.hatenadiary.com/entry/2020/12/25/170131

振り子の運動方程式θ''(t)=−sin(θ(t))の解の一意存在(4月30日訂正)

(t, θ)=(0, 0)の近傍でsinθ〜θと近似すればθ(t)=asin(t) (aは任意定数)が近似解となることからわかるように, この方程式にはθ(0)=0, θ'(0)=1を満たす解θが存在することが予想される. それを, 常微分方程式の解の一意存在定理である, コーシー-リプシッツ…

リーマン予想などの数学の重要な未解決問題『ミレニアム懸賞問題』の入門記事

ここでは, 数学のミレニアム懸賞問題のうち3つを解説する. リーマン予想 これは解析接続されたリーマンゼータ関数についての予想である. 解析接続とは簡単に言うと, 複素変数の関数としての微分可能性を保ちながら定義域を拡大することである. 実変数の関数…

2年前に書いた超関数超入門

厳密な定義より直観的なわかりやすさを優先したので多少論理に無理がある箇所があるのは許していただきたいが, 超関数(distribution)を連続線型汎関数と定義する理由をデルタ関数を用いて説明した. 超関数はデルタ関数とそれに関する演算の厳密化が発端なの…

齋藤正彦著「線型代数入門」のレビューと解説と体験談

昔から度々参考にされている. その理由は少しずつ話していきたい. この本では太文字を集合や線型空間に使い, 行列や写像は普通の文字で書いているところが個性的である. 「明らか」でないとか, 説明が短くて, 分かりにくい所も有る. 紙面に書き込んで考えな…