中学生になって, 数学を学んでいくうちに疑問が沸々と浮かんできた. なぜ基礎や初歩が論理的に曖昧なまま厳密化せずに問題を解いてばかりなのか. 問題もいわゆる文章題は, 数学を使った問題とは言えても, 数学その物の問題ではないだろう. みかんがx個, 池の周りをグルグル, 点Pがどうのこうの, そんなのは数学ではないはずだ. 例えば「数」とは何か, なぜ負の数に負号がつくと正の数になるのか, なぜ負の数と負の数を掛けると正の数になるのか, 0とは何か, なぜ0に何を掛けても0なのか,「図形」とは何か, 突き詰めて言うと「1」「+」「=」「2」「1+1=2」とは何か, そういうことを私は知りたかった. また, √2が2乗すると2になる正の数なら, √2とは2の1/2乗ではないのかと気づいた. そして√2の√2乗がどんな数か知りたかった. しかしこれらは誰も教えてくれなかった. ゆえに私は中学生ながらも高校や大学の数学を独学し始めた. 2007年11月のことである. 幸い図書室には良い数学の本が何冊もあった. 最初は式の展開と因数分解からである.
数学を独学していくうちに, 微分積分に感動した. 微分法を使って増減表を書いてグラフが描けたり, 分数関数1/xの原始関数が対数関数を用いてlog(x)+Cと表されたり, マクローリン展開で関数を「無限次の多項式」で表せたりすることに, 中学生時代の私は感動した. そして, オイラーの公式, 特にe^(iπ)=−1に大興奮したのである. 私のうわさを聞いた先輩が微分積分の簡単な本を貸してくれたりもした.
高校生になって, 簡単な微分積分や線型代数や複素関数の本をよく読んでいた. 病気で留年した後の2010年には石原-矢野両氏の「解析学概論」, 高木氏の「解析概論」, 杉浦氏の「解析入門」, 新井氏の「ルベーグ積分講義」, 猪狩氏の「実解析入門」にのめり込み, 解析学にハマっていった. この時からルベーグ積分については何冊も読むようになり, ルベーグ積分オタクになってゆく. 夏には冷房の効いた部屋に引きこもってひたすらルベーグ積分を学んでいた.
高校は病気により休学と留年をした. 留年後は同級生からの嫌がらせもあり, 四年制の入りやすく通いやすい高校に転校する話もあったが, 高校卒業の資格が手に入るのが遅れるのを理由に2011年1月に予備校に転学した. その頃から実解析にハマっていく. 同年11月に高卒認定試験を受験した東工大の教室にはベッセルの不等式がうっすらと書かれてあったのを見た.
2012年頃, 超関数という概念に感動し, わからない所を教えてもらおうとしたが, リアルでもネットでもどこでも教えてくれる人はいなかった.「大人の数学教室」なる物も頼りなかった. 結局自分で学び考えた.
この頃からAmazonにレビューを書き始めた. 理由はあるが, 有名人になるためではなかった. しかし結果として多数の本にレビューを書いたこと,「数理解析学概論」を熱心に読んだレビューを書いたのを著者の北田先生がご覧になり新訂版序文に載ったことなどで有名人になった. 新訂版序文の人になった時(2016年12月29日)は大興奮して, 当時大好きだった女の子にメッセージを送りまくった. ちなみにそれが原因ではないが, 彼女からは恋愛対象から外された.
年は明確に覚えてないが, 関数解析, 偏微分方程式, 代数学, 幾何学, 圏論, 多変数複素解析などにも手を出し, 超関数を用いて偏微分方程式の研究をした. 代数学は松坂氏の「代数系入門」から, 幾何学は松本氏の「多様体の基礎」から始めた. 有限次元と無限次元の違いや類似, 台がコンパクトな超関数, 準同型定理, 微分幾何の接続の概念, 圏論の考え方, ヘルマンダーの方法に感動した.