偏微分方程式の一意解の存在について
2016年1月31日に偏微分方程式の一意的な解を構成する方法を予想した.
全てのヒルベルト空間Hの双対空間H*はリースの表現定理によりHと線型同型かつ距離同型ゆえにH*=Hと見なしている上に, Hとしてソボレフ空間を選べばH*は超関数の空間である(後述)から,
与えられた偏微分方程式(P)に対して適当な可積分性や可微分性を定めたヒルベルト空間Hで(P)の解u∈Hが存在しそうなものを用意して, 適当な超関数としての連続線型汎関数d∈H*を定義しておいて, リースの表現定理により∃!v∈H, ∀φ:test function,〈d, φ〉= (v, φ)
と表現するときに,
vが(P)の解 u=v であることを言えたら, ∃!u∈H, (P)の解を構成できたことになる. H*=Hだからuをdと同一視できるのでuは超関数の意味での解でもある.
または, 共役指数 1<p<∞, q, 1/p+1/q=1 に対してL^p空間の連続線型汎関数の表現定理を用いて, 開集合Ω上の超関数∂∈D*(Ω)⊃(L^p)*(Ω)としての連続線型汎関数∂∈(L^p)*(Ω)を定義しておく.
L^q(Ω)=(L^p)*(Ω)は, ヒルベルト空間Hと整合性を保たせたいなら, Hは適当な実数sによる可微分性を課してp=2としたソボレフ空間H=W^(s, 2)(Ω)⊆L^2(Ω)=(L^2)*(Ω)⊂D*(Ω)となるから, より広い関数空間L^q(Ω)=(L^p)*(Ω)⊂D*(Ω)の中で(P)の解∂∈L^q(Ω)を構成できるかもしれない. (ただし, 計量による性質:空間の直交分解可能性, 実数値の内積で任意の2つの元の成す角を定義できること, 正規直交基底の存在, などは失われる. )
以上の全ての関数空間Xに対して, D(Ω)がXで稠密であり, 関数列{φ_n}⊂D(Ω)のD(Ω)に入っている位相による収束を仮定すると{φ_n}がXに入っている位相により収束するので, ∀f∈X*⊂D*(Ω), fの連続性をD*(Ω)の位相により定めれば, X*は超関数の空間になる. (P)の解u∈X*を構成できて, 例えばX*=Xだとかuが或る程度滑らかなら, u∈Xにもなりうる.
現実にはuに数理科学や幾何学などから要請される, 例えば, 有界性u∈L^∞(Ω)や可積分性と可微分性u∈W^(s, p)(Ω)およびΩの境界の形状によるuの性質そして非斉次性などがXに反映され, (P)の解u∈X*(≠X)の構成は殆んど多くが困難なのだろう.