序文とあとがきの人のブログ

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「新訂版 数理解析学概論」のAmazonレビューに関して

今日を最後にAmazonレビューのコメント機能が廃止されるので一部を書き換えた上で転記:

 

超関数Eと台がコンパクトな超関数fの合成積 E*f∈D' は任意のφ∈Dに対して
〈E*f, φ〉=〈E(x),〈f(y), φ(x+y)〉〉
により定義されている.〈f(y), φ(x+y)〉がxの関数として∈Dだからである(※4). なお‪φ∈Dの変数をxとするときφ(x)に超関数f∈D'を作用させる( φ→f(φ) =〈f, φ〉を求める)ときはfをf(x)と書き〈f, φ〉を〈f(x), φ(x)〉と書く‬. 局所可積分関数とその関数が一意に定める超関数の同一視により, E∈L^p(1≦p≦∞)かつf∈C^∞の台がコンパクトなときxをx−yに置き換え, ヘルダーの不等式とフビニの定理とルベーグ測度の平行移動不変性を用いると, 任意のφ∈Dに対して
∫(E*f)(x)φ(x)dx=∫(∫E(x−y)f(y)dy)φ(x)dx
が得られ変分法の基本補題よりE*fは通常の合成積
(E*f)(x)=∫E(x−y)f(y)dyとなる.
E∈D' かつ f∈Dの場合はC^∞級関数として
(E*f)(x) =〈E(y), f(x−y)〉
により定義されている. やはりE∈L^pであれば
(E*f)(x)=∫E(y)f(x−y)dy=∫E(x−y)f(y)dyとなる. 

 

(※4)超関数fの台の定義を本文と異なる形で書くと, B(x, ε)を点x∈R^nのε近傍(中心x半径rの開球)として
supp(f)={ x | ∀ε>0, ∃φ:試験関数, suppφ⊂B(x, ε) ⇒〈f, φ〉≠0 }.
(supp(f))^c={ x | ∃ε>0, ∀φ:試験関数, suppφ⊂B(x, ε) ∧〈f, φ〉=0 }なので
(supp(f))^c=∪_(ε>0){ x |∀φ:試験関数, suppφ⊂B(x, ε) ∧〈f, φ〉=0 }
は「fが0となる点から成る最大の開集合」ゆえにfの台は「fが0でない点から成る最小の閉集合」である.

また〈f(y), φ(x+y)〉を (f(y), φ(x+y)) と書くことにすると

supp(f(y), φ(x+y)) ⊆ ∪_(x∈supp(φ))(x+supp(f))
でありsupp(f)とsupp(φ)はコンパクトだからsupp(f(y), φ(x+y))もコンパクトである.
さらに任意の多重指数αに対して
(D^α)(f(y), φ(x+y))=(D^α)(f, φ(x+・))=(-1)^|α|(f, (D^α)φ(x+・))
であるから(f(y), φ(x+y))はxの関数として台がコンパクトなC^∞級関数である.
そしてfはD(R^n)の位相で連続な線型汎関数であるから
φ_n→φ in D(R^n) ⇒ (f(y), (φ_n)(x+y))→(f(y), φ(x+y)) in D(R^n)
ゆえに(f(y), φ(x+y))=(f, φ(x+・))∈D(R^n)である.

「新訂版 数理解析学概論」についてはこちら:https://www.amazon.co.jp/%E7%B7%9A%E5%9E%8B%E4%BB%A3%E6%95%B0/dp/476870462X/ref=cm_cr_srp_mb_rvw_txt?ie=UTF8