δ(x)=0 (x≠0), δ(0)=∞, ∫_R δ(x)dx=1 を満たす関数δは存在しない. ただ近似的にそのような関数を作ることはできる. しかしいずれも反則的な項別積分をしなければならない.
仮にそのような関数δが存在するとして,
∫_R δ(x)φ(x)dx=φ(0)
に着目し, 積分の線型性と, φを変数と見た時の一様収束についての
φ→∫_R δ(x)φ(x)dx
連続性を見ると, 超関数の定義が見えてくる.
超関数の定義において, 1のKについてはKがコンパクト集合という意味である.
(L^1)_loc(ℝ^N)の関数の具体例は殆んど至る所で連続な実数値関数を思い浮かべると良いだろう. 実際, 殆んど至る所で連続な実数値関数はリーマン積分可能であり, それはルベーグ積分に等しい.
f, g∈(L^1)_loc(ℝ^N)が定める超関数[f]について, 変分法の基本補題(新訂版440ページ目, 定理17.15)より
∀φ∈D, [f](φ)=[g](φ)
⇔ f(x)=g(x) a.e. x∈ℝ^N
なのでfとfが定める超関数[f]は同一視することができる. ゆえに同じ文字fで書いている.
超関数は超関数の意味では何回でも微分可能である. 書き忘れたが, 超関数の微分の定義において多重指数αの長さ|α|=α_1+…+α_N. fがC^∞級なら部分積分によりfの通常の意味の偏導関数は超関数の意味の導関数に一致する. αによる超関数の意味での微分またはαによるφ∈Dの微分を∂^α, 通常の意味の微分をD^αと書くと, 超関数の意味での微分の定義と部分積分により
〈 (∂^α)f, φ 〉
=(−1)^|α|〈 f, (∂^α)φ 〉
=(−1)^|α|〈 f, (D^α)φ 〉
=(−1)^|α| (−1)^|α| 〈 (D^α)f, φ 〉
=〈 (D^α)f, φ 〉
これが任意のφ∈Dに対して成り立つので変分法の基本補題とfの偏導関数の連続性より
(∂^α)f=(D^α)f.
応用については新訂版のレビュー(https://www.amazon.co.jp/gp/aw/review/476870462X/R11XNGNRDZB3SY?ref=pf_ov_at_pdctrvw_srp)も参照されたい.