数学や数学を応用する場面では, 全体を「1」としたとき, 今考えている量が, それに対してどれくらいの割合(比率・濃度・密度, …)かを考えることが多々ある. 数学内部でも古典的確率論では必ず起こる事象の確率を1として, 個々の事象の確率を考える. 百分率では全体を1すなわち100%とし, 一部分の割合を0(=0/100)以上1(=100/100)以下の数値で表す. 例えば33.333…%=33/100である.
分数とは, 全体を「1」としたとき, 今考えている量が, それに対してどれくらいの割合(比率・濃度・密度, …)かを表す数である.
ゆえに, 分数は約分ができる. 例えば
(2×3×5)/(3×5×7) (a/bはb分のa)
は比率としては
2/7
に等しい.
これを踏まえて, 分数の足し算と引き算で通分が必要な理由と, 掛け算では通分は要らない理由, そして分数の割り算で割る数の分母分子をひっくりかえす理由をまとめてみた. あえて文字式は使わなかった.
数学が苦手な人は, 他にも
√7+√3=√10
のような「記号の足し算」の類をしてしまうが, 分数の計算を分子と分母の2変数関数R×(R−{0})→Rとみなしても, √を関数[0, ∞)→[0, ∞)とみても, これらは準同型写像にならない. 多くの関数は射ではないのである.
比について, a:b=c:dならばad=bcなのは, b≠0かつd≠0ならば
a:b=c:dとは本来はa/b=c/dの意味であるから, 両辺にbdを掛ければad=bcが得られる.
実際は既約分数a/b, c/dに対して
a/b+c/d=(ad+bc)/bd,
a/b×c/d=ac/bd
は定義であるが, なぜそう定義するのか考えるのも数学である. 減法と除法はここから定義される. すなわち
a/b−c/d=(ad−bc)/bd,
(a/b)/(c/d)=(a/b)(d/c)/(c/d)(d/c)=(a/b)(d/c)
=ad/bc.
連比と, なぜ0で割ってはいけないのか, 本当に0で割ってはいけないのかは, またの機会に.