序文とあとがきの人のブログ

画像はスマホでは拡大できます。記事の題名の下にあるタグをクリックまたはタップすると記事を細かく分類したページに移動します。最近は数学を語ることもあります。

0の0乗0^0=1と定めると便利なことについて

まず, 0^0が普通の意味では定められないことの説明として, 2変数関数f(x, y)=x^yが(x, y)=(0, 0)で不連続であることを挙げることがある. 確かに実際,lim_(x→0, y→0)0^y=0lim_(x→0, y→0)x^0=1となり, lim_(x→0, y→0)f(x, y)は存在しない. ゆえにf(0, 0)…

急減少関数が可積分であることの証明 (2022年11月25日最終訂正)

多くの本では既知または行間としている. 急減少関数の典型例:exp(−|x|^2) 注意:exp(−|x|)は急減少関数ではない. 急減少関数について詳しくはこちらを参照されたい:https://pdem.hatenadiary.com/entry/2020/12/25/170131

数学ではなぜ0で割ってはいけないのか(4月30日7:14 最終推敲)

実は, 数学でも0で割ることはある. ただし, 例外的かつ便宜上である.まず, あえてありきたりな説明をする. それには一理あるが問題点もあるからである.反比例の関数y=1/xを考えてみたい(グラフは下にある). まず関数とは何か考えよう. 座標平面(xy平面)を想…

振り子の運動方程式θ''(t)=−sin(θ(t))の解の一意存在(4月30日訂正)

(t, θ)=(0, 0)の近傍でsinθ〜θと近似すればθ(t)=asin(t) (aは任意定数)が近似解となることからわかるように, この方程式にはθ(0)=0, θ'(0)=1を満たす解θが存在することが予想される. それを, 常微分方程式の解の一意存在定理である, コーシー-リプシッツ…

分数の計算でなぜ通分が必要かなどの話

数学や数学を応用する場面では, 全体を「1」としたとき, 今考えている量が, それに対してどれくらいの割合(比率・濃度・密度, …)かを考えることが多々ある. 数学内部でも古典的確率論では必ず起こる事象の確率を1として, 個々の事象の確率を考える. 百分率で…

「非線型発展方程式の実解析的方法」の3年程の研究の感想と成果(Amazonのレビューのコメント欄から転記)

(先日, Amazonではレビューへのコメントの機能が廃止された. はてなブログでは二重以上の括弧は脚注になるので多少記号を変えた. また細部の表現を改めたが殆んど変更はない. 元々パソコンで書いた物であり, 多少見にくいかもしれないが, ご容赦いただきたい…

「新訂版 数理解析学概論」のAmazonレビューに関して

今日を最後にAmazonレビューのコメント機能が廃止されるので一部を書き換えた上で転記: 超関数Eと台がコンパクトな超関数fの合成積 E*f∈D' は任意のφ∈Dに対して〈E*f, φ〉=〈E(x),〈f(y), φ(x+y)〉〉により定義されている.〈f(y), φ(x+y)〉がxの関数…

リーマン予想などの数学の重要な未解決問題『ミレニアム懸賞問題』の入門記事

ここでは, 数学のミレニアム懸賞問題のうち3つを解説する. リーマン予想 これは解析接続されたリーマンゼータ関数についての予想である. 解析接続とは簡単に言うと, 複素変数の関数としての微分可能性を保ちながら定義域を拡大することである. 実変数の関数…

2年前に書いた超関数超入門

厳密な定義より直観的なわかりやすさを優先したので多少論理に無理がある箇所があるのは許していただきたいが, 超関数(distribution)を連続線型汎関数と定義する理由をデルタ関数を用いて説明した. 超関数はデルタ関数とそれに関する演算の厳密化が発端なの…

偏微分方程式の一意解の存在について

2016年1月31日に偏微分方程式の一意的な解を構成する方法を予想した.全てのヒルベルト空間Hの双対空間H*はリースの表現定理によりHと線型同型かつ距離同型ゆえにH*=Hと見なしている上に, Hとしてソボレフ空間を選べばH*は超関数の空間である(後述)から,与え…

数学でいう数とは何か (2022.7.25.加筆•訂正)

以前の記事『数とは何か』と『「数とは何か」における用語について』の内容を取捨選択しまとめて, 再論してみようと思う. 以下の記述は『新訂版 数理解析学概論』による. この本については文末に付すリンク先にあるAmazonのレビューも参照されたい. 以下, か…

いくらでも抽象的な概念が存在する

概念という概念は抽象的である 「「概念という概念」という概念」は抽象的である 「「「概念という概念」という概念」という概念」は抽象的である 「「「「概念という概念」という概念」という概念」という概念」は抽象的である 以下数学的帰納法により無限…

齋藤正彦著「線型代数入門」のレビューと解説と体験談

昔から度々参考にされている. その理由は少しずつ話していきたい. この本では太文字を集合や線型空間に使い, 行列や写像は普通の文字で書いているところが個性的である. 「明らか」でないとか, 説明が短くて, 分かりにくい所も有る. 紙面に書き込んで考えな…

ベゾフ空間と準同型定理について 2016.10.30

ベゾフ空間と斉次ベゾフ空間に加法群の準同型定理を当てはめることができた。準同型定理により同型と言える。これで斉次ベゾフ空間を定義したら何が起こるんだろう。ベゾフ空間の理論を代数的に観たら何が分かるんだろう。ベゾフ空間は指数を自由自在に調整…

無限大は数か

無限大は普通に数学を学んでいれば高校数学Ⅲかそれに相当する段階で初めて現れる. そこでは当然直観的な認識で理解をするだろう. しかし日常生活における無限大という言葉の使われ方や高校数学Ⅲにおける極限に関する公式を見ていると, どうも無限大というも…

「新訂版 数理解析学概論」の第16, 17章について

具体例と測度や積分および行間について補足すべく作った, 内容をより良く理解するための自作演習問題. ハール測度とルベーグ測度のハール測度としての性質も意識した(知り合いの数理物理学者がハール測度の理解のためも読んでいるので) 1. ユークリッド空間…

溝畑「偏微分方程式論」について

和書では数が少ない偏微分方程式「論」の本である. (私も含めて)難解という方も多いけれど, 話の流れとしては入門書である.様々な偏微分方程式の可解性の理論(解の存在・一意性・連続性や微分可能性・初期値の連続的な変動に対する解の変動の連続性・境界値…